富山ってつまらないまち?
「富山ってつまらないよね…」
「なにもないよね…。都会はなんでもあっていいよね。」
友達と話しているとよく耳にする会話である。
たしかに富山には都会のように、おしゃれなお店やカフェが林立しているわけではないし、最新・最先端をいくものがそろっているわけでもない。交通も車がなければ不便である。
その点からみれば、“なにもない” かもしれない。
“なにもない”まち=つまらないまち?
富山はほんとにつまらないまちなのか?
楽しいまちってなんだろう?
とやま*まちなかバザール 越中大手市場 実行委員会会長 秋吉 克彦 さんにお話を伺う
お話から、“にぎわうまち”にはいくつかのヒントがあるよう。
①生活の一部にヒトとヒトが出会うしかけをつくること
②チャレンジができるまちにしていくこと
①生活の一部にヒトとヒトが出会うしかけをつくること
越中大手市場とは?
富山市の中心部・大手モールで毎月最終日曜日に開催されている、まちなかのマーケット。
越中大手市場を始めたきっかけは?
行政がまちのなかでなにか楽しいことができないかと提案してきたことがはじまり。
行政とまちづくり会社、住民でまちににぎわいを作るには?などについて一緒に勉強し、そこから越中大手市場が生まれた。
「いろいろあったけど、やり続けることが大事。やっと落ち着いてコンセプトが固まってきました。今は地元の人、出店者、まちづくりグループ、ボランティア、大学生とコラボレーションしながら開催しています。」
と秋吉さん。
最近はインスタやホームページを整備して情報発信をしたことで、参加するお店や遊びに来る人が増えたとのこと。
やるならいいものにしたい!と秋吉さんのお話しされるとおり、一風変わったお店や、こだわってものを作っているお店が通りにズラリ。そのお店の方々が、またこだわりをもって活動している方を呼んで、どんどん輪は広がっているよう。
買ったり体験したり、おいしいものを食べたり。またステージ発表があったりと五感をフルに使うようなおもしろい場になっていて、あちこちでにぎわいが生まれている。
トランジットモール(歩行者と路面電車などの公共交通機関だけが優先的に通行できる形態の歩車共存道路)とも共同して社会実験中であり、今後もますます素敵な市場になりそう。
今後どのように取り組んでいきたいと思っているか?
越中大手市場は継続して開催していくが、今後は
まちのにぎわいを「イベント」とという形から「平常・日常」に変えていきたいとのこと。
「人の生活の動線の中に入って、にぎわいが発生するようなしかけを考えていきたい」
ヒントは喫茶ランドリーやパブリック屋台。
特別なイベントごとではなく、生活の一部に人と人が出会うしかけをつくる。
「人の生活感や営みがみえること、人が集まっているところは、なにかおもしろそうなものがあるのではないかと感じさせる。
パブリックな場でヒトとヒトが出会うことで対話が生まれる。対話が生まれることでヒトとの関係が生まれる。ヒトとヒトが関わることで新しいコトが生まれる。新しいコトが生まれると動きが出てくる。そうすることで、にぎわいができる、まちってそんな場ではないでしょうか…」
この思いから、先日大手モールBARがスタート。
新しく整備された大手モール広場はとても心地よい空間。
そこに椅子とテーブルを持ち出すことで、まちなかにBARが出現。
“ちょっと寄ってみる”がコンセプト。
「お酒を飲むのもよし、本を読むのもよし、ぼーっとするものよし。
オープンな場所で人の動きが見えることで、気になるポイントに。ひとと出会って会話する。時間を共有する。それがにぎわいなのでは…。」
“楽しみ”や“にぎわい”はヒトとヒトのつながりや関係の中で生まれていくよう。いろんなヒトと出会うことは、自分が知らなかったことや気づかなかったことに出会うチャンスである。
楽しみのキーワードにはヒトとの関係がありそう。
“なにもない”からこそ、新しいものを生みだすこと、自ら関わっていくことで、新たなまちの楽しみ方ができるのかもしれない。
②チャレンジができるまち
「思いを持っている人がチャレンジできるきっかけを作りたい」
せっかく思いがあってもチャレンジする機会、ハードルが高いとなかなか形にならない。
「最初からうまくいかせるのではなく、まずは思いを生かしてあげられるような機会やチャレンジしやすい環境をつくっていきたい」とのこと。
その1つとして
不動産×リノベーション×若者 に取り組んでみたいと秋吉さん。
「若い人がアイディアがあってもお金がないから諦めるとなると、それはもったいない。最近はこの辺りもどんどん空き家が増えてきているのに、そのままになってしまっている。これをうまくマッチングさせて、まちに住んでいる人、新しくチャレンジしたい人、そしてまち自体にとっても恩恵があるようなしくみをつくりたいね。」
秋吉さんが楽しそうにお話ししているのを見ていると、こちらもどんどんわくわくしてくるのを感じた。
ヒトには自分の思いを表現する場が必要。
「表現すること、それが形になることは思いの爆発。思いが爆発するとヒトが巻き込まれて、また動きが生まれる。
だから誰かがやる、やってもらうではなく、1人1人が表現できること、それを生かすことができる場があること。
それもまたにぎやかなまちにつながっていくと思う。」
動きがあることでにぎやかさが生まれる。
新しいコトを思い描いている人はたくさんいるかもしれない。
思いを表現していける環境、それを受け入れられる環境もにぎわうまちには大切な点である。
まちは待っていても楽しくならない。
新しいことに挑戦している人を応援することも、楽しいまちにしていくことにつながっていくだろう。
最後に…
秋吉さんが、まちなかをにぎやかにしようと思い続けることができる原動力は?
「大手町はまちなかのポテンシャルの高い土地。(近くに城がある、交通も便利、でも静かな場所)自分はこの土地が好きだし、愛着がある。その場を寂しい場にはしたくない。もっと素敵な場にしていきたい。続けていくことで改善していくことができる。やめたらそこでおしまいでしょ。」
今回秋吉さんのお話を伺ったことで、新たな富山の楽しみ方を学んだ。
自分の生活とまちや環境は大切な関係である。
なにをもって楽しいまち、楽しいコトととらえるかはそれぞれであるが、
1歩まちへ踏み出して、いろんな人に会いに行って話をしてみること、思いを表現することで、違ったまちの姿が見えてくるかもしれない。